低侵襲手術
経腟的内視鏡手術(vNOTES)
vNOTESとは腟から内視鏡下に子宮や付属器を摘出することで腹部に全く傷をつけないため、腹腔鏡手術よりさらに低侵襲の手術です。
術後の疼痛や合併症がさらに低減され早期の退院が可能となります。
当院の佐藤・長尾は倉敷成人病センターにてvNOTESワークショップを受講完了しており、2022年よりvNOTESによる子宮全摘(VANH)を行っております。
適応については当院婦人科外来にてご相談ください。
腹腔鏡下仙骨腟固定術(LSC)
2016年に保険収載された腹腔鏡下仙骨腟固定術(laparoscopic sacrocolpopexy:LSC)は、骨盤臓器脱の原因である脆弱化した組織を、メッシュと呼ばれる医療用人工繊維を用いて強力に補強する手術です。
従来は経腟的に組織を補強していましたが、高度な骨盤臓器脱に対しては30-40%の再発をみとめていました。
より再発率の低い手術として、欧米で行われていた下垂した腟をメッシュを用いて仙骨方向に引き上げる術式がありましたが、お腹を切開する必要がありました。近年、この手術を腹腔鏡でより低侵襲かつ安全に施行できるLSCという術式として確立されてきました。
腹腔鏡で行うことで、術中の出血量の軽減・入院期間の短縮・術後腸閉塞の減少が期待できます。
ただし、高度な腹腔鏡手術の技術と骨盤解剖の知識が必要となるため、当院では婦人科内視鏡技術認定医と骨盤解剖に詳しい婦人科腫瘍専門医の下、安全に手術をおこなえる体制と環境を整え、2023年よりLSCが施行されております。
適応については当院婦人科外来にてご相談ください。
子宮体がんセンチネルリンパ節生検(臨床研究)
子宮体がんの標準手術療法として骨盤リンパ節郭清術が行われていますが、下肢や会陰部のリンパ浮腫や骨盤内リンパ嚢胞などの術後合併症で生活の質が著しく低下するおそれがあります。
近年、上記のような合併症を回避するために、最初に転移が生じると考えられるリンパ節を手術中に同定・生検し、リンパ節転移をみとめなかった場合、他のリンパ節の郭清を省略するセンチネルリンパ節ナビゲーション手術が様々ながん腫で行われておりますが、子宮体がんにおいてはまだ標準術式として保険適用ではありません。
そこで、将来のセンチネルリンパ節ナビゲーション手術を目指し、当院の倫理委員会に承認された臨床研究(承認番号22-048:子宮体癌におけるインドシアニン(ICG)蛍光法を用いたセンチネルリンパ節同定)を2023年3月より行っております。