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指導医より(麻酔科)

診療各科の研修指導医より、研修内容のご案内です。

Resident program

常勤医師5名(大高 公成)

1.診療内容

「花火のまち大曲」から

大曲は古くから夏の全国花火競技大会で知られています。今では夏の協議会を柱に、春は国際色豊かな花火、秋は劇場型花火、冬は若手花火師の新作花火と、季節ごとに趣向を凝らした「四季の花火」を楽しむ事ができます。

大曲厚生医療センターは大曲・仙北地域の中核病院です。現在、麻酔指導医2名、麻酔専門医1名、麻酔科専攻医2名の計5名体制で麻酔科診療を行っています。全身麻酔手術は年間2000件を超え、関連病院としては最も豊富な症例数となっています。心臓麻酔はありませんが、小児麻酔、帝王切開術、胸部外科・脳神経外科手術の麻酔専門医必要経験数を1年で満たすことが可能です(右図は呼吸器外科手術の様子)。2022年から術後疼痛管理APSチームが稼働しました。硬膜外PCA、静脈PCA、神経ブロックを活用しながら術後疼痛管理にも力を入れています。
麻酔科医は単に手術麻酔のみではなく、周術期のリスクマネージメントを担い、手術の質・安全を維持するために必要欠くべからざる存在です。またペインクリニック、緩和ケア、救急医療など麻酔科の活躍するフィールドが広がるにつれて、益々麻酔科医の必要性が増加しています。
当院では緩和ケア病棟を備え、年間4000人を超える癌性疼痛患者の入院診療を行っており、緩和ケア研修が可能な環境にあります。また地域のペインクリニック専門医院ではペインクリニック研修も受け入れていただいています。

2012年から救急医学会認定ICLS(心肺蘇生講習会)を定期的に開催しています。研修医、医師、看護師、CE、リハビリ科、救急隊員、救急救命士など多くの方が受講されています。
イラストはJAあきたおばこ農協公認「おばこ娘」ICLSキャラクターです。

2.研修の概要

初期研修

研修目標 習得すべき項目
麻酔・救急診療に必要なスキルを習得する 救急に必須なスキルを習得する
  • 末梢静脈確保ができる
  • 用手気道確保と人工呼吸ができる
  • 気管挿管や他の気道確保法を施行できる
  • 種々の気道確保方法の利点と注意点が分かる
  • 人工呼吸器やモニター機器などME機器の操作ができる
  • 循環作動薬、抗不整脈薬を適切に投与できる
  • 病態による輸液、輸血が適切に行える
  • BLS、ALSが行える
  • スタッフ、医師と協調して診療ができる
周術期管理を含む麻酔科研修(2ヶ月以降)
  • 術前全身状態の評価ができる
  • 術式や全身状態にあった麻酔計画の立案ができる
  • 各種局所麻酔、神経ブロックなどの手技を理解する
  • 各種麻酔薬の作用を理解し安全な麻酔管理が行える
  • エコーガイド下に中心静脈カテーテル挿入を実施できる
  • 困難気道に対する手順を理解する
  • 麻酔について患者への適切な説明ができる
  • 術後鎮痛状況、回復状態を観察し評価できる
  • BLS、ALSを指導できる
具体的内容

【手術前日】指導医と共に術前診察を行い、患者の全身状態、合併症を把握して麻酔管理に必要なモニタリング法、麻酔管理法を検討します。
【入室準備】指導医と共に麻酔器、モニター機器の準備、シリンジポンプ、薬剤の準備を行いながら機器の使用法や注射器、薬剤の取り扱いなど基本的事項を習得します。
【麻酔導入】指導医と共に麻酔導入を行い、呼吸、循環の変動やそれに対する対処、用手気道確保、種々の器具を用いた気道確保を実習します。輸血のための血管確保を行い、エコーガイド下の中心静脈カテーテル挿入を補助しながら安全な中心静脈確保を学びます。
【麻酔管理】指導医と共に、麻酔管理を行います。血液ガスをモニターしながら適切な人工呼吸管理を行い、輸液・輸血、中心静脈圧測定などを実施して適切な循環管理法を学びます。清潔手技を通じて感染予防のための清潔操作の概念も学びます。
【麻酔覚醒】麻酔からの覚醒を観察して、意識レベルとABC、すなわち気道の開通状態、呼吸状態、循環の評価法を学びます。
【術後管理】術後鎮痛法から各種鎮痛薬の使用法を学びます。主治医とコミュニケーションをとることで術後回復状態の評価や問題点、術後管理のポイントなどを学びます。

【2ヶ月以降の周術期管理を含む麻酔科研修】 術前診察により、麻酔計画を立案し、指導医とディスカッションしてより具体的に麻酔導入や管理における麻酔薬の選択、投与量を計画し実践します。
中心静脈カテーテル挿入や観血的動脈圧モニターも指導医の指導下に行います。局所麻酔、神経ブロックを指導医と共に行います。

習熟すべきME機器

麻酔器、各種人工呼吸器、気管支鏡、心拍出量測定装置、心電図モニター、観血的動脈圧モニター、パルスオキシメーター、カプノメーター、体温モニター等

習熟すべき薬剤

救急薬剤
昇圧剤、降圧剤、寛血管拡張剤、抗不整脈剤、抗痙攣剤、利尿剤、喘息治療剤、解熱鎮痛薬、制吐剤、抗アレルギー剤、ホルモン剤、電解質・糖製剤、止血剤、血液凝固阻止剤・拮抗剤、DIC治療剤、鎮痛剤、鎮静剤、輸液剤、胃酸分泌抑制剤、吸入麻酔薬、静脈麻酔薬、筋弛緩薬、筋弛緩薬拮抗剤、局所麻酔薬、子宮収縮薬、子宮弛緩薬、抗生剤、消毒剤等

参考文献)麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン 日本麻酔学会

2ヶ月ないしそれ以上の長期研修があります。3年次以降は秋田大学麻酔科に所属して麻酔専攻医として研修していただく事ができます。
2ヶ月研修では、麻酔科担当医として術前の評価から麻酔導入・維持、術後疼痛管理など一般的な麻酔管理を学ぶことができます。研修医1人あたりの麻酔経験数は1ヶ月30例~50例程度になります。麻酔科を目指す方にはより長期の研修で、より実践的な麻酔管理を指導いたします。
また救急研修の一部として、救急診療で必要とされる最低限のスキル(末梢静脈確保、マスクによる人工呼吸、気管挿管や他の気道確保法)を習得するための短期研修も行っています。指導医と一緒に麻酔管理を行いながら、心肺蘇生法、循環作動薬、抗不整脈薬の使用法、輸液、輸血、生体モニターの評価など救急診療で必須の知識を勉強してもらいます。さらに月2~3日は救急科指導医とともに救急患者の診療も行ってもらっています。希望があれば救急診療を重点的に行う事も可能です。

専攻医研修、標榜医・専門医資格取得

研修期間 研修目標 資格等
専攻医研修
1~2年目
成人患者の麻酔一般を指導者と共に実施する
高リスク成人患者の麻酔管理を指導者と共に実施する
帝王切開の麻酔、新生児の管理を指導者と共に実施する
緊急手術、小児麻酔を指導者と共に実施でする
ASA分類III‐IV度の重症患者を指導者と共に担当する
 
成人患者の麻酔一般を一人で担当する
学会参加・発表を経験する
希望があれば緩和ケア研修が可能
3~4年目 スタッフとして手術全般を一人で担当する
初期研修医の指導を行う
心臓血管手術や新生児・小児症例の院外研修が可能
論文執筆を経験する
希望があれば緩和ケア研修、ペインクリニック研修を行う
麻酔標榜医
認定医
4年次終了 麻酔専門医試験受験 麻酔専門医

初期研修終了後、麻酔科医として研修を希望される先生は、原則として秋田大学麻酔科に所属する事になります。しかし当院で経験できない症例(新生児・小児、心臓血管外科麻酔)を秋田大学で経験しながら当院で研修を継続する事も可能です。
当院の全身麻酔件数は年間2000件です。初期臨床研修医が担当する症例は1日1~2例ですので年間250~500例になります。それ以外の症例は専従コースの医師が指導医とともに麻酔を担当することになります。1年間で全身麻酔症例400例以上、その他の麻酔症例を含めて計500例程度の麻酔管理を経験することを目標とします。内容としては1年目前半で成人患者の麻酔(硬膜外麻酔併用やくも膜下脊椎麻酔を含む)を、1年目後半ではリスクある患者や帝王切開などの麻酔も担当していただきます。
2年目は、初期研修医の指導も行いながら、自らは小児麻酔やASA分類III‐IV度の重症患者を担当します。
学会発表、論文執筆も積極的に行っていただきます。2年目研修終了時には当院で行われるどのような症例に対しても一人で対応することができるようになることを目標としています。
3年目以降も当院に所属する場合は、スタッフとして研修を重ねるとともに施設外との交流研修で、さらに新生児・小児、心臓血管外科麻酔の習得を目指します。希望者はペインクリニック外来と癌性疼痛患者の緩和ケアについても研修していただきます。
4年次終了後、日本麻酔科学会 麻酔科専門医試験の受験資格が取得できます。